煙草の煙が目に染みる

感情の垂れ流しが、目に、心に染みるように。

BUMP OF CHICKENを聴かなくなってしまった人間を"アカシア"で出戻りさせている

BUMP OF CHICKENを聴かなくなってしまった人間。つまり俺です。

 

音楽の趣味っていうのは大きく年齢に左右されるものなんだけど、BUMPって何故か老若男女皆好きなんですよ。そんな中でも、今30歳前後の人間からしたらBUMPは青春そのものだった。前ブログで書いたんですけど、「音楽=記憶」であるって俺の持論があって、その時ハマっていた音楽を聴けば、その時聴いていた時の通学のとき自転車に乗って駆け上がった公園の風景とかが思い浮かんでくる、なんて思ってる。

僕地元が北海道の田舎なんですけど、高校の時に札幌でBUMPのライブがあるってことで、高速バスに5〜6時間乗って友達4人で札幌まで行ってBUMPのライブに行ったことがある。今思うとよく親許してくれたなって思うけど、それが俺たちBUMPが青春たる所以なのだ。

俺たち(今年で25歳なんですけど)の世代では、COSMONAUTっていうアルバムが絶頂期で、親からお小遣いをめちゃくちゃ前借りして買ったのをよく覚えている。それをWALKMANに入れて聴いてたので、色々な人たちから「そのCD貸してよ」なんて言われて貸しまくったらケースはボロボロ、CDには穴開きました。はい。

 

R.I.P.BUMP OF CHICKEN

 

そんな青春そのもの、BUMP OF CHICKEN。何で聴かなくなった?って冷静に考えたんですけど、人間何かを10年、20年と続ければ、当然何度かは方向転換があるものだし、しかしその行く先は必ずしもファンの思惑通り、とはいかない。前書いたブログで書いた(凛として時雨ヤバイよねってyoutube見せられたらTKのソロ曲だった話 - 煙草の煙が目に染みる)凛として時雨なんかは、一切方向性を変えずに、逆にさらにジャキジャキになりつつ進化をしているが、これは稀有な例。

 

アルエ / BUMP OF CHICKEN

 

初期のBUMPの曲、例えばflame vein+1っていうアルバムの中の曲を聴いていると、はっきり言ってお世辞でも演奏は上手くない。しかも、パワーコードぶっぱなすだけの本当にシンプルな曲だし、目新しさはもう感じない。でも俺たち青春をBUMPに費やした人間からすれば、逆にそれがいいのだ。脳が退化する。実際、これが20年前の映像と曲だと言われりゃ驚くけども、今の邦楽ロックシーンにポンと入れてみりゃ、注目度なんかあまり高くならないんじゃねえかなって思う。いまいち物足りない感じ。

でも、その8年後かにorbital periodを出したあたりから演奏技術やら楽曲がまとまってきた感覚がして、それからBUMPにもっと火がついたような感じがする。多分、「昔のBUMPは良かったよなぁ」みたいに言う自称音楽通の軽音サークルにいるキノコ頭ブサイクは、この頃を指しているんじゃねえかなって思う。そういう先輩いませんでした?

そしてBUMPはorbital periodを出した7年後、こうなりました。

 

ray / BUMP OF CHICKEN

 

初音ミクとコラボしやがりました。初音ミクに魂を売りやがりました。ほとんど打ち込み音楽のような楽曲を作りやがりました。あの時のバンドという音楽を貫いてきたBUMPさんはどこ行ったんですか?

いやあのね、他のブログでも言われてることなんですけど、1人でもこの音楽を届けてやりたい、という結果なんだと思う。この曲出した2014年のボカロシーンで言うと、DECO*27がストリーミングハート、40mpが恋愛裁判を投稿したりと、まだまだボカロシーンは絶頂期は過ぎたものの、まだまだ下火にならずに続いていた。その時のBUMPと初音ミクのコラボ、完全に初音ミクやボカロ好きなファンを取り入りたいという結果であると感じている。ボカロが入っていることで、ボカロ支持層がこの曲を聴き、『意外と悪くないかも。』と感じたやつらが遡ってBUMPを聴く。実際、現状rayの再生回数は1532万回再生されていて、その目論見というか、プロモーションは大成功しているのだ。しかし、このスタンスの大きな変更はファンを増やすと同時に、「BUMPは変わった」と言って離れたファンも多いんじゃないかな、なんて思うのである。そんな人間が俺。あれ、BUMP何か違うじゃん、と。ヤバい。このままだと自称音楽通の軽音サークルにいるキノコ頭ブサイク(歌全然上手くない)になってしまう。ヤバい。

 

そんな時を過ごしながらこれまで生きてきた訳なんですけど、およそ2ヶ月前、ヤバい動画がアップロードされたんです。

 

アカシア / BUMP OF CHICKEN

 

なんとポケモンとコラボしやがりました。BUMPを青春としていた30歳前後の奴らを完全に打ち砕きました。いやあのね、スケルトン仕様のゲームボーイカラーポケモンクリスタルをプレイしていた奴ら、絶対BUMP通ってます。これマジです。この企画、BUMP側から「ポケモンとコラボしたいです」って言ったのか、ポケモン側から「BUMPとコラボしたいです」って言ったのかわかんないんですけど、このプロモーション、完全に成功してます。ポケモンとコラボすることでBUMPを聴かなくなってしまった奴らを呼び戻せたし、ポケモン剣盾をプレイしているナウなヤングも「動画見てみよ」とBUMPを知ることが出来る。しかも、MVのアニメーション監督はテレビアニメ「血界戦線」を手かげた松本理恵が務めており、そっちの線からも動画の視聴を促すことが出来る。完全にこれ、BUMPの策略にハマっています。皆様気づいてましたか?もう泥沼にハマってますよ?

でも正直言って、昔のBUMPの曲ではない。今のBUMPの曲調だ。ベースメントタイムズのBUMP OF CHICKENのファン、総入れ替わりしてない? - BASEMENT-TIMESっていう記事で書かれている通り、確かにBUMPのファンは総入れ替えしている。これは確か。しかし、今回のアカシアのポケモンコラボPVで元々いたファンも入れ替わったファンも新規ファンも全て取り込んでいるように見えるのだ。

 

何で今こんな記事?2ヶ月前に書けば良かったじゃん?なんて思う人。それは俺のミスです。申し訳ない。しかし、今回この記事を書こうと思ったのは、3日前に投稿されたPV、「新世界」があまりにも良かったからである。

 

新世界 / BUMP OF CHICKEN

 

「新世界」は、ロッテ創業70周年記念スペシャル・アニメーション「ベイビーアイラブユーだぜ」のために書き下ろし制作された楽曲。企画・プロデュースは、BUMPとの数々のコラボでもお馴染みの川村元気。監督・絵コンテ・演出・音響監督はアカシアも手掛けた松本理恵、キャラクターデザイン・作画監督は林祐己、アニメーション制作はボンズという強力な布陣で作られたアニメーションがまずあまりにも素晴らしい。

ロッテのPVといえば、真っ先に思い浮かぶのはEveの心予報。いやね、ロッテの人たちよ。何故上手くこうバズりそうなアーティストたちを起用するんだ。上手すぎない?

楽曲が素晴らしいのはもちろんのこと、それに合わせて制作するアニメーションがマッチしている。これが、BUMPの「ファンを逃さねえぞ」の策略だったりするとかしないとか。実際、YouTubeのコメント欄には「アカシアで初めてBUMPにハマって新世界も聴いてます!」みたいなコメントも様々。おい、作戦成功してんじゃねえかおい。

 

このブログも、ポケモンコラボPVみたいに見てくれる人が聴いたことがない音楽に触れる機会が増えればいいな、と思っています。何だこの締め方?あとBUMP最高です。

 

それでは。

 

 

 

 

アイドルを下に見てるバンドマンを殺すアイドル特集 2020

皆様!推しにじゃぶじゃぶお金を投資していますか!僕はチェキや特典のために貯金がなくなるまで投資しています!まちゅです!こんにちは!

どっかのテレビの特集で「今の若者は何にお小遣いを使っているのか?」みたいな特集をやってたんですけど、その1位が「推し活」だったと記憶している。最近の若者のブームでは、刀剣乱舞だろうがヒプマイだろうがアイドルだろうが千差万別ではあるものの、「推し」という概念に深い心の拠り所を作っているのは間違いのないことなんだと思う。

 

以前に"CY8ER"というアイドルの商業戦略に平伏せ - 煙草の煙が目に染みるというブログのタイトルでCY8ERというアイドルグループを取り上げたんですけど、やはり未だにアイドル音楽を聴く人たちはそこまで多くない。というか、ロック音楽を聴いている人間っていうのは今のアイドルソングを下に見ている気がするんですよね。その理由として、「いい曲じゃなくても売れるから」なんですよ。これめちゃくちゃ語弊があるんですけど、アイドル音楽っていうのは、そのアイドルの顔やパフォーマンスありきな部分があって、簡単に言うとアイドルの質が高いから、その副産物としての音楽が評価されているだけなんですよ。ていうかそもそも主戦場が違う。だからロック好きな人間ってのはアイドル音楽を下に見てるんですよね。

人っていうのは、自分の属するカテゴリーから外れた人間を理解しようとしないばかりか、バカにすることで自尊心を保とうとするんです。結局これって人間の無意識からなる行動なんですよ。まあね、気持ちはわかる。僕がヒップホップ好きな友達から急にラップバトル仕掛けられたときと同じ感情です。その時ビートに乗せながらそいつビンタすればよかった。

 

っていう時代はもう遅い!今の時代、アイドルソングは副産物ではなくなったのだ。というか最前線を突っ走ってる。アイドルを馬鹿にしているバンドマンの皆さん。一回敗北を認めてアイドルソングを学んでください。

 

と、まぁ前置きが長くなりましたが、今回はアイドルを馬鹿にしたバンドマンを殺すアイドルソングというテーマで、アイドルソングの概念をぶち壊してくれるグループを幾つか紹介したいと思います。皆様のアイドルソングの入口として、聴いてもらえれば幸いでございます。

 

BiS

STUPiD / BiS

 

“楽器を持たないパンクバンド”として有名な女性アイドルグループ、快進撃を瞬く間に続けているBiSHが所属する音楽事務所WACK。そのWACKに所属する「全裸MV」や「24時間耐久フリーライブ」などの前代未聞のパフォーマンスでアイドル界に賛否両論を巻き起こし、2014年に横浜アリーナで解散した破天荒アイドル、BiS。何やかんやあって2回の解散を経て、2019年6月からは第3期が始動している。

え?もうBiSって有名じゃね?ってそこの貴方ね、絶対第3期BiS聴いてない。これマジ。さっき見せたSTUPiDのMV再生数が現在77万回再生されてるんだけど、第1期や第2期のMV再生数は軽く100万回再生されてるんです。要するに聴き手が少なくなってしまった。第3期は名前は同じでも全く別のグループと思っている人が多いかもしれない。それは、第2期は第1期の曲を歌い継いでいたが、第3期は過去曲を歌い継がず、すべてが新曲だからなんだと思う。しかし、音楽性は第1期から変わらずにロックサウンド。第2期のように疾走感があり、前向きなメッセージの曲や明るい曲調も多い。過去の魅力的な部分をミックスさせ、「音楽が良い」と言われ続けてきた高い音楽性はしっかりと守っている。しかも、第3期は過去で最も技術があり、より音楽の魅力をしっかり伝えることができるメンバーが揃っているんです。例を出すと、ネオ・トゥリーズというメンバーの歌唱力には驚かされるんです。なんと地声でhiG#まで出せるという音域の広さ。他のメンバーにしても色気のある歌声、パワフルな歌声とが混じり合い、音楽だけでも勝負できる実力を手に入れているんです。第2期BiSで止まっている貴方。第3期BiSも聴いてみませんか?

 

我儘ラキア

Melody / 我儘ラキア

 

あえてPVではなくライブ映像を選んだんですけど、どうですかこの熱量?エグくないですか?

2016年6月17日にデビュー。「われがままに。自分らしく歌う。」をコンセプトに活動をしている。大阪を拠点としてますが、東京、名古屋など全国各地でライブをしている、もう売れ始めているアイドルの一つであると思ってる。

魅力の一つとして、先程言ったライブの熱量にあると感じている。ラウド系・ロック系の曲調に、情熱的でエモーショナルな歌声。図太く歪んだサウンドと激しいデジタルビート、緩急の激しい楽曲展開。それにファンが呼応しているのか、ライブは激しく後方からステージが見えないほど高いリフトが壁のようにそびえるのが名物になっている。大阪のラウド系なアイドルとしてPassCodeが有名ではあるが、その後を継ぐようなアイドルかもしれない。

 

BLACKNAZARENE

BAD END / BLACKNAZARENE

 

「THUG×kawaii」をコンセプトに、ストリートカルチャーとアイドルシーンを融合させた世界観。アイドルらしからぬサグい言動とスキルの高いパフォーマンスで、「可愛いのに媚びてない」と同性からの支持も高い。

アイドルと言えば「可愛い」「元気」「笑顔」といったキラキラと光輝く姿を思い浮かべることだと思う。しかし、このBLACKNAZARENEというグループ、プロデューサー曰く「みんなで楽しむための音楽じゃなくて、孤独を感じる人にいつでも寄り添える音楽を作っている」と発言しており、訴えかけてくる力がとても強くて勢いがある。さっき載せた「BAD END」という曲の歌詞を引用すると、

生まれたことすら後悔する日も

何もかも許せない日も

弱りきった僕を抱きしめた言葉は

あの日からいつもここに

何度だって誓うよ

君がいた世界に救いはあると

っていうね。完全にアイドルにありがちな「超前向きポジティブポップソング」ではなく、孤独に悩む人間に向けて曲を書いていることがわかる。アイドル界のSyrup16gか?絶対違うな。

 

Payrin's

イドラホリック /Payrin's

 

2016年10月にデビューしたアイドルグループ。ギターロックやオルタナティブロックを中心に曲を展開している。1番の特徴なのが、ボーカロイド楽曲からの影響を感じさせるサウンドだということだ。今現在、ボーカロイド楽曲を手がけるいわゆる「ボカロP」の楽曲提供する曲がバズっているのだ。例えば、TikTokで話題になったナナヲアカリのチューリングラブ。この曲の楽曲提供は「惑星ループ」などの楽曲を作成したナユタン星人である。今回載せたイドラホリックという曲も、ボカロPや音楽家として活動しているツミキが楽曲提供しているのだ。しかし、ツミキが作成した曲を聴いていると、ツミキの曲の特徴は難しい語彙を華麗に操り、アップテンポなかっこいい曲調に乗せ叫びを訴えかける曲であり、一アイドルが歌うということはそう簡単ではない。しかし、そんな曲を違和感なく歌い上げ、自分たちの世界観として作り上げているのだ。それはめちゃくちゃ凄いことで、前に女は全員菅田将暉に恋してるけど音楽やるのはどうなの? - 煙草の煙が目に染みるの記事で書いた通り、あの菅田将暉でさえ、楽曲提供してくれたアーティストの歌声に寄って行ってしまう。それを自分の世界観として表現していることは、並大抵のセンスと歌唱力がないと無理。そんなセンスの塊のPayrin'sというアイドル、聴いてみてみませんか?

 

星歴13夜

Baby baby Cupid / 星歴13夜

 

前このブログでも取り上げた(ぜんぶ君のせいだ。「Natural Born Independent/ロマンスセクト」発売初日試聴レポ - 煙草の煙が目に染みる)、ぜんぶ君のせいだ。が所属するレーベル、コドモメンタルINC.に所属する星歴13夜というグループ。メンバーそれぞれに担当の星座が用意されているほか、パジャマをモチーフにした衣装など、“夜”をコンセプトにしたファンタジー調のビジュアルイメージで活動している。

電子音を基調としたいわゆるピコピコサウンドやパラパラのような曲調に、彼女たちが持つ甘い歌声がMVだけでも聴き取れるだろう。このグループの特徴は、グループ5人のメンバー誰かが際立つということではなく、歌声が調和しているということ。昔からあるアイドルの文化として、「センター」という立ち位置があるのだが、コドモメンタルINC.のグループにそれは無く、皆が協力して一曲を歌い上げている感覚がするのだ。もちろん、ぜんぶ君のせいだ。というグループにも、リーダーという立ち位置がいるが、際立ってセンターを張るということはない。それがこのグループの良い点であり、魅力に感じてしまうのだ。

 

おわりに

今回あえてなんですけど、このメンバーが可愛い!とか、このメンバーの情報は〜とか一切書いてません。このブログの記事のコンセプトとして、「バンドマンが馬鹿にしていたアイドルソングはもう音楽業界を突っ走ってるからバンドマンはこれ聴いて卒倒して首を吊れ」なので、曲そのものだけでも評価できるアイドルソングを選んだつもりです。実際よくある可愛くて元気でキャピキャピしてるアイドルソングも多数あるので、それはまた今度。わかったか、バンドマン。早くアイドルソングを聴いて頸動脈切れ。

それではまた。

 

 

ANTi CONFORMiST SUPERSTAR (通常盤)

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  • アーティスト:BiS
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  • アーティスト:我儘ラキア
  • 発売日: 2019/07/09
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ADMIRATION <通常盤>

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  • アーティスト:BLACKNAZARENE
  • 発売日: 2020/02/18
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パラレリズム

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Hugdreamy Horoscope

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  • アーティスト:星歴13夜
  • 発売日: 2019/11/27
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"climbgrow"を今知ったんですけど何で誰も教えてくれなかったんですか?

これ最近の話なんですけど、この音楽ブログを書いているせいなのか分からないですが、よく「おすすめの音楽教えて〜〜〜」ってLINEとかTwitterのDMやリプライとかで聞かれることがあるんですよね。だから俺は毎回「自分で探せ、自分で好きな音楽を探し当てた方が絶対に面白いし好きになる」って言葉を飲み込んで、これまでブログで書いてきた音楽たちを教えてるんですよ。でも「声があんまり好きじゃない」とか「もっとさー、髭男みたいなさー」とか言われる始末で、最近他人に曲を教えることにナーバスになっています。どうもこんにちは。

 

昨今のバンド音楽なんてのは、実際言ってしまうと不作も不作。新しいバンドを見つけようとしてYouTubeをくるくるしても、再生数3000回、Twitterのフォロワーが1000〜2000人というバンドたちが石ころのように転がっている。そういうバンドたちが渾身の曲を出しても、King Gnuやら髭男がポンと新しい曲を出した途端そのバンドメンバーは失神する。何が言いたいのかというと、バンド音楽なんてのはもう時代錯誤なのだ。スポンサーの後ろ盾があったり、有名イラストレーターが描いたMVを発表するしかバズる方法がないんだと思うんですよ。

俺まちゅってTwitterでしょうもないツイートしてるんですけど、フォロワー500人弱、別垢もいれたらフォロワー合計1000人弱なんですよ。例えば、もし俺が皆さんの心に刺さる素晴らしい音楽を作ったとして、MVをYouTubeで公開して1000人のフォロワーに「見て!」なんてツイートしても、多分再生数100回もいかない。もうバンド音楽ってのはそんなもんなんです。皆興味が薄れてきている。

しかも、ミッシェルみたいに「ザ・ロックンロール」みたいなサウンドにパワフルなボーカルなんてのは、もう絶滅危惧種。うなぎですよ。うなぎ。ミッシェルみたいな音楽はもううなぎなんです。

 

で、話が戻りますけど、ちょっと前に数少ないバンド音楽が好きな佐藤って友達から「最近好きなバンド何?」って聞かれたので、「じゃあ逆に今佐藤がキテる音楽って何よ?」って聞いたんです。そしたら"climbgrow"っていうバンドを教えてもらったんですよ。

 

LILY / climbgrow

 

正直聴いたときびっくりした。こんな時代錯誤の時代にこんなジャキジャキした音楽やってんのかと。いや、このバンドを自分で見つけられなかったと後悔している。って思ってclimbgrowについて調べてたら別ブログの2年前の記事でもう紹介されていた。ふざけるな。何で誰も教えてくれなかったんだ。キレるぞ。

 

色んなブログで言われてることなんですけど、声が完全にチバみたいな嗄れ声。ミッシェル好きの俺にはめちゃくちゃ刺さる。あと喉大丈夫?って心配になる。龍角散送ってあげたい。

 

ラスガノ / climbgrow

 

このラスガノって曲のサビの一節なんですけど、

何もかもが不安で
そして幾つもの夜越えて
踏み出せない弱くて
情けない自分が嫌いで
この先が怖くて
でもここで終われなくてさ
だから此処で変わりたくて
一歩目を踏み出したんだ

こんなストレートな歌詞を嗄れ声で叫ぶ。多分、それこそミッシェル好きの最近の邦ロックシーンに物足りなさを感じてる人や90年代~2000年代初頭の濃いロックが好きな人に相当刺さるんじゃないかな、って思う。言葉が真っ直ぐで、感情的で、本当にこいつらが伝えたいことを曲にしている感覚がするのだ。

 

声も歌詞もさることながら、ギターやリズム隊の凝り方もいい。メロディも曲も現代的な感覚。かっこいいとしか言いようがない。やばい。男でも惚れる。俺女だったらツアー全通するぞ。

 

これ他ブログでも書かれてたんですけど、問題は「次にブレイクするバンド集!」みたいなまとめ記事でclimbgrowの名前見かけることがあるけど、周りに載ってる他のブレイク候補のバンドと色味が違いすぎるんですよ。売れ筋じゃないというか、好きな人が完全に限定される感覚がする。

万人受けじゃない。でも、ぶっ刺さる人にはぶっ刺さる。そんな音楽もあっていいんじゃないかなって思いながらブログを書きました。

 

あと「最近キテるぜ!」みたいな音楽があったら早めに教えてください。climbgrowみたいに乗り遅れると嫌なので。

 

それでは。

 

 

CULTURE(通常盤)

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  • アーティスト:climbgrow
  • 発売日: 2020/09/09
  • メディア: CD
 

 

 

これが現代アーティスト、"4s4ki"をバズる前に聴け

皆様、お久しぶりでございます。

新型コロナウイルスで自宅待機やテレワークを命令され、さらに給料もボーナスも減らされる昨今、どうお過ごしでしょうか。

 

俺は専らTwitterに張り込んで、「喫茶店でコーヒー飲んでたら目の前にカップルが来たので煙草の煙をわざとカップルにぶつけてやった」とか、「札幌の大通のイルミネーションを撮ってるカップルがいたのであえてその前を通り過ぎて写真に映り込んでやった」とかツイートしてます。全部本当です。寂しい人間だなオイ。

 

俺がカップルに嫌悪感を感じてるみたいに、やっぱりこの時代特有の苦悩とかってあると思うんですよ。それこそさっき言った給料ボーナスが減らされるとか、好きなバンドのライブが中止になったとか、ヒプマイにハマって給料全部左馬刻様に奉仕して金がないとか。そんな悩みを、現代人は「SNS」に捌け口を作る時代になっている現状があるんです。例えばインスタのストーリーで黒い背景に顕微鏡で見なきゃわからないくらい小さい白文字で病み投稿をしている女。あれは本当にストレスを昇華できているのか疑問に感じるんですけど、何をしたいかわからないので知ってる人教えてください。はい。

 

でもまぁ、こういった感情の起伏は常日頃我々にも生じるもので、程度の違いはあれ誰しも気持ちが沈むことはあるのではないかと思う。それを音楽を作って昇華する。そんなアーティストが最近増えてきた気がするのだ。

その一例として、今回紹介したいのが、"4s4ki"というアーティストである。

 

超破滅的思考 / 4s4ki

 

作詞作曲は勿論 編曲までを1人でこなす新世代アーティスト。 2018年3月『ぼくはバカだよ。』でデビュー。 2018年8月にはハシシ(電波少女)を客演に迎えた『Moldy』を発売。 2019年3月「アサキ」から「4s4ki」へ表記を変更、プライベートレーベル「SAD15mg」を設立。 作家としては『けものフレンズ』『SHOW BY ROCK!!』の舞台音楽制作や、声優ユニットサンドリオン〟へ楽曲提供するなど、その才能は多岐に渡る。

 

という経歴の持ち主なのだが、曲を聴いてみると、その技術に驚かされる。しかも、トラックメイクもリリックも1人で手掛けているというのもまた驚かされるのだ。しかし、特筆すべきはやはりその世界観であると感じる。脆いようで芯がある、強い自分と弱い自分の混在、その複雑によって出来上がった歪な自己。そういった現代の若者が持つ様々を、高い音楽技術で表現しているのだ。

海外の音楽シーンにおいても近年、トラップの酩酊的なビートに乗った自己否定感を詞にしたような楽曲が受けている。こういった背景には現代人の傾向として、強い自分だけでは生きられない、弱い自分をさらけ出す瞬間も必要な側面があるのだ。こういった楽曲を出すアーティストを勝手に「現代の若者が持つ感情を表現するアーティスト」として、「現代アーティスト」と呼んでいる。そういった現代アーティストを求めている若者は少なくなく、現代人の「救い」になっているのは間違いのないことなのだ。

 

欠けるもの / 4s4ki

 

「超破滅的思考」とは違ったゆったりとした雰囲気で、冒頭のささやきのような歌声から4s4kiの独特な色を感じ、非常に引き込まれた一曲。トラックの鳴りもかなり落ち着いているのだが、ここに4s4kiの流れていくような歌声が乗っかることによって、静かでありつつも疾走感が生まれているように思える曲になっているのだ。

 

今ポエトリーリーディングという音楽ジャンルはもうちょっとアツくなってもいいと思うんだ - 煙草の煙が目に染みるの記事で書いたのだけれど、ポエトリーリーディングHIPHOPというジャンルが最近主流になってきている。4s4kiは、そのHIPHOPの流れを意識しているような感覚がするのだ。よくあるゴリゴリのラップ調の歌ではなく、今流行りのしっかりとリズムに合わせたラップの色が見られる曲調であると感じされる。4s4kiがどのような音楽シーンを意識して作成しているのかは定かではないものの、今の音楽シーンの真ん中を突っ切れる程の技術、そしてフローを展開できているのだ。

 

35.5 / 4s4ki

 

これまでのゆったりとした雰囲気とは違く、ハードダンスサウンドをベースにポップスへ昇華した超高速BPMの実験的なトラックであるのだが、曲調は違えど、4s4kiのリリックは健在。平熱35.5というワードをキーに、先程申し上げた現代の若者が持つ様々を、高い音楽技術で表現しているように感じるのだ。

 

4s4kiは12月16日(水)にニュー・アルバム『超怒猫仔/Hyper Angry Cat』をリリースすることが決定している。4s4kiが2019年9月以降に配信限定でリリースしたシングル「欠けるもの」「escape from」「ラストシーン」「ラベンダー」「kg」、EP『遺影にイェーイ』からオリジナル楽曲を全曲収録。さらに未発表の新曲を4曲加えた全24曲入り、2枚組の大ボリュームの作品となる。

で、ちょっと気になったのがリリースする作品に向けた本人コメント。

 

全細胞生き生きアルバム

アンデッドにゃんこ添え

 

多分本人やべーやつです。

今後も彼女の精力的な活動を期待してます。

 

それでは。

 

 

遺影にイェーイ [Explicit]

遺影にイェーイ [Explicit]

  • 発売日: 2020/08/21
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 

常田大希率いる「millennium parade」の"視覚的"表現方法

 

King Gnuというバンド、もう皆様ご存知であろう。

 

以前このブログにて俺の知らないところで"King Gnu"が流行っている - 煙草の煙が目に染みるという記事を書いたのだけど、この1ヶ月後に「白日」をリリース。そして現在ではYouTubeで2億回再生という驚異のバズりっぷりを見せつけた。正直、ここまで流行るとは思わなかった。しかし、King Gnuのおかげでバイト先の女の子と話してる中、音楽の話題になって「いや〜〜〜〜King Gnu好きなんすよ〜〜〜〜」なんて言ってたら「King Gnu私も好き!」ってなって話が盛り上がった。ありがとうKing Gnu

 

白日 / King Gnu

 

さて、なぜここまで白日がバズったのか?という疑問点が浮かんでしまう。しかし、これは完全に戦略的なものではないのか?と感じてしまうのだ。井口の澄んだファルセットからはじまり、バンドの演奏とともに常田のラップへと繋がっていく。大切な人を失う喪失感を湛えたメロディはJ-POP的な哀愁へと接近し、一聴しただけで多くの人の心を掴む。一方で、Aメロ→Bメロ→サビというわかりやすいJ-POPの展開にとらわれない構成は、この曲を単に聴きやすいバラードとして終わらせない。このように、聴いてすぐに耳を奪う聴きやすさと、バンドが追求してきたサウンドの美学、この二つが同時に存在していることが、長く聴かれている要因ではないか、と感じている。

 

そんな飛ぶ鳥を落とす勢いのKing Gnu。その中で、King Gnuのフロントマン、常田大希が率いるプロジェクト、「millennium parade」に関しても、勢いを増しているのだ。

 

日本で活動するバンドとして王道のロック・ポップスを志向するKing Gnuに対して、常田が所属するクリエイターチーム「PERIMETRON」と一体となって音楽・映像・空間演出などをプロデュースするmillennium parade。ライブでの3Dビジュアルやサラウンドの音響を駆使したそのパフォーマンスはまさに総合アートであり、その全貌を理解するには音源だけを聴いているのでは不充分なのである。

 

Veil / millennium parade

 

「millennium parade」第一弾の楽曲である。ここで私が衝撃を受けたのがermhoiの浮遊感溢れる歌声。敢えて感情を殺し切っているような淡々とした不思議な歌声がインパクト抜群で新プロジェクトの1stシングルとしてこれ以上ないような楽曲となっている。

さらに、音源だけでなく、MVにも注目して欲しい。MVは、白い部屋の中央にうず高く積まれた白いトルソーの残骸の上で、何本もの管につながれた裸の人形が歌うというもの。この曲では「宇宙の始まり」というのがひとつの重要なモチーフになっている。あえてドラマを作らず、淡々と1シーンで終わるMVは、まるでmillennium paradeの世界のオープニングのように感じてしまう。

 

Stay!!! / millennium parade

 

そして3rdシングル、Stay!!!。millennium paradeのボーカリストはermhoi固定なのかと思わせといて突然大物シンガーCharaをぶっこんで来た3rdシングルである。Veilや、2ndシングルであるPlanktonと比較しても、キャッチーに仕上げられているように思える。

さて、こちらもMVに注目してみると、実写とアメコミ調のカートゥーンを組み合わせたもので、Veilとは少しかけ離れたものに思える。しかし、女の子と飼い犬がエサを巡って戦いを繰り広げるというコミカルなコンセプトの映像の中に、セクシャルな匂いのする歌詞もあり、1つの「愛」の歌であることが想起させられる。常田の作るmillennium paradeの詞は、この曲のように「愛」であったり、「命」であったりと、人間の営みの根源を想起して作られているように感じてしまうのだ。

 

Fly with me / millennium parade

 

そして、先日公開された最新曲、Fly with me。このMVは大きく分けて2つの視点を表現しているように見える。ゲームのプレイヤーであるカオナシのような化け物である富裕層の生き物と、ゲーム内、水晶内で生きるMVの主人公のような人物の2つである。最終的には、ゲーム内で生きる主人公がカオナシのようなゲームのプレイヤーを2丁拳銃で撃ち殺す。これは、「自由」というワードが想起できる。目上の人間に操作されることを拒否し、人間の営みの本質である「自由に生きなければならない」というようなメッセージ性が感じ取れるのだ。

 

millennium paradeは、音楽という「聴覚」での表現の枠を超え、今や映像や芸術という「視覚」にまで訴えかけるまでに手を広げている。これは、豊かな音楽での表現に加えて、映像の完成度が大変高いのも魅力の一つになっているように感じるのだ。

King Gnuに関しても、白日の極限まで漂白された世界とあの曲名のタイポグラフィは楽曲の美しさと残酷さをこれでもかと浮き彫りにしているし、Teenager Foreverの、「100万円もらったら何する?」というMVは同曲にたぎるロマンとKing Gnuというバンドの本質をユーモアたっぷりに描き出している。millennium parade、King Gnu、いずれも、映像によって楽曲に込められた物語や空気感が明快に具体化されている。しかし、millennium paradeでは、より常田の本質に近い「人間の本質」をテーマとし、受け手に向けて感情移入の入り口を開いている感覚がするのだ。

楽曲に隠されたものを映像が暴き出し、その映像が音楽をより豊かなものにする。その相互作用によって進化するmillennium paradeは、アートとしてもエンターテインメントとしても、興味深く、より面白いものとなっていくのだ。

 

以上。また何かあればよろしく。

 

 

Fly with me

Fly with me

  • 発売日: 2020/04/22
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 

FACTの系譜「SHADOWS」は進化している

 

a fact of life / FACT

 

皆様、「FACT」というバンドをご存知だろうか。

 

白い能面姿とエレクトロを取り入れた新感覚ラウドロックで、国内を飛び越え、アメリカのレーベルからデビュー。「SXSW」 「Warped Tour」といった海外の大型フェスに出演など、様々な活動により、2000年代のラウドシーンの根底を作り上げたバンドとして、今も尚語り継がれるバンドである。

 

私がFACTを知ったのは確か中学校のころで、いわゆるBUMPとかアジカンに影響されてアコギを練習してロックかっけー!やべー!ってなってた時代である。自分でルーズリーフに書きながら作詞作曲するもクソみたいな曲しか出来ずにゴミ箱に捨てるっていう黒歴史の時代でもある。

そんなロック好きな一般中学生が、TSUTAYAでCDを借りまくってた時に、FACTが「能面集団が交通事故にあって復活した!」みたいな見出しでピックアップされていたのを見つけた。しかし、その時の私はBUMPとかの王道ロックみたいなものしか聴いてなかったから、あんなゴリゴリのハードコアだったりラウドロックに対しての耐性がなかった。だから正直あんまりハマらなかったのだが、高校大学になるにつれ耐性ができてきて、ゴリゴリハマってしまい、FACTのジャパンツアーに行くまでに至ってしまった。

今現在でも日本ラウドシーンの礎を築いたバンドと言っても過言ではない素晴らしいバンドだと思う。このバンドがいなかった場合、今のSiMやcoldrain、Fear,and Loathing in Las Vegas等の立ち位置も変わっていたと思う。それほどまでに偉大なのだ。FACTというバンドは。

 

choices / FACT

 

しかし、FACTは2016年に突如解散した。

理由は、「今が一番カッコいいから」っていう理由が公式である。不仲説とか音楽の方向性の違い等の意見を言っている人もいるのだが、私からすれば本当にそうなんだろうな、と確信している。

 

そんな中、FACTの元メンバーであるHiro(Vo)、Kazuki(Vo&Gt)、Takahiro(Vo&Gt)が、2016年のFACT解散と同時に立ち上がり、再び結成したロックバンドがある。

それが、今回ご紹介したい「SHADOWS」というバンドである。

SHADOWSは、FACT解散と同年にライブレコーディングによるファーストEP『Extrance』をリリースし、デビューを飾った。その後、「PUNKSPRING」「SUMMER SONIC」といった国内の大型フェスに立て続けに出演。2017年にはファーストフルアルバム『illuminate』をリリースした。

 

ネットのブログなどを見ていると、SHADOWSはFACT初期のサウンドに近いものがあり、FACTって名乗っててよかったんじゃないか?っていう意見もちらほら見たことがある。しかし、FACTとSHADOWSは完全に違うのではないかと感じている。SHADOWS自体が、自分たちの音楽を90’s メロディック・ハードコアをリバイバルさせた、New Melodic Hardcoreと呼んでいる。その為、FACTが様々な音楽をミックスさせたラウドロックならば、SHADOWSはこのNew Melodic Hardcore一本筋のバンドになっている。根本のジャンルが違うのだ。

 

では、実際にどう違うのか。

 

Chain Reaction / SHADOWS

 

この軽快なハイスピード、胸を掻き立てるようなアツいバンド・アンサンブル、生命力溢れるメインボーカル・Hiroの天性の歌声。前バンドから培ってきたスキルと個々の魅力を最大限に引き出している。

しかし、前バンドと明らかに違うのは、ラウドでありながらもこの聴き心地の良さだ。メロディアスなリフや軽やかなリズムで、サウンド自体もとても聴きやすい。エモーショナルなサウンドはそのままに、ポップな印象も強い。 特にドラマチックな曲展開も、聴き心地の良さの大きな要因となっている。 前半はアグレッシヴなサウンドを全開に突き進み、中盤では楽器の音が抑えられてコーラスが爽やかに響き、後半は再び盛り上がり華やかなまま終焉を迎える。 じっくりと練られた構造ではあるが、ストレートな起承転結を描いている。

90年代ロックらしい真っ直ぐなサウンドや曲展開も、SHADOWSならではの魅力である。

 

BEK / SHADOWS

 

ザラつきのある野性的サウンドとキャッチーなメロディ、泥臭いHiroのボーカル。リズムの転調が重なり、何度も形を変えては疾走するように駆け抜けていく。 ヘヴィーであることに固執せず、身軽に音を楽しんでる印象で、そのフットワークの軽さが二転三転するドラマチックな曲展開に繋がっている。 重たいサウンドを掻き鳴らしたまま突っ切るというのも彼らの得意分野ではあるが、SHADOWSでは変化を重ねることや、ストレートなアプローチの中に見える音ひとつひとつを明確にすることで、細かな音の違いを楽しんでいるようにも思える。ここがFACTとは違った、New Melodic Hardcoreの部分なのであろう。

また、なんといっても、彼らの楽曲に欠かせないシャウトが気持ち良い。全てを吐きだすように男臭く叫ぶ姿はとてもエモーショナルで、人間的だ。普段こういうノリには縁がない人も思わず拳を突き上げたくなるような、リスナーの心を巻き込む熱い魂をジリジリと感じる。

 

当然ではあるが、SHADOWSとして活躍していれば、絶対に元FACTの~っていうレッテルが必ずついてくるものだと思う。ライブや音源等を出しても、FACTの方がよかったという意見や、FACTと名乗っていいのでは?という意見も少なからず出てくると思う。しかし、彼らは自分たちがこれまでいたシーンに戻ってきてくれた。そして、また1からバンドを始め、もう一度シーンに返り咲いている。そんな姿が、私にはとてもカッコよく見える。

 

今年で結成4年目。新型コロナウイルスによって京都大作戦にてライブ予定だったものが中止にはなったものの、現在のSHADOWSの姿を見てみたいと感じる。それほどまでに、魅力的なバンドなのだ。これからどのような活躍をしてくれるか楽しみである。

 

以上。また何かあればよろしく。

 

illuminate

illuminate

  • 発売日: 2017/04/26
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 



「コロナ自粛」で見えるライブビューイングの方法の変化

 

皆さん!「コロナ自粛」してますか!

 

私は新型コロナウイルスのせいでバイト先が休業になり1ヶ月間の間ニートをしなければいけない状況になってしまった。いやね、給料が0になるって恐怖が堪らない。給料が0になるせいで欲しいアイドルのグッズが買うことが出来ないし、欲しい服も買うことが出来なくなってしまった。多分皆さんも同じだと思う。せっかくのオリンピックだって延期になった。そのせいで日本や世界の経済は大打撃。そして人々は不況のイメージを心に刻み込まれ支出を減らそうとするので、世界は不況に陥り、負のスパイラルが蔓延し、そして死を迎える。世界第三次大戦も目の前かもしれない。

 

そんな日本経済やら世界経済に大打撃を与えている新型コロナウイルス君。そんな中でも分かりやすく被害を受けているのが、そう。音楽業界なのである。

 

2月から蔓延が始まって、現在4月。どれだけの「ライブ中止のお知らせ」「ライブ延期のお知らせ」を目にしましたか?私の周りでもZOCというアイドルグループのライブが延期したし、ジョインアライブというフェスまでも中止のお知らせが発表された。他にも、メジャーなアーティストたちに関しても軒並みライブを自粛する方向に動いている。それは社会的にはとても正しい行為。ただ、メジャーなアーティストだけではなく「音楽で飯食ってやるぜ!」って言ってるYouTube再生回数3桁のバンドマンに関しても、自粛を余儀なくされている問題が発生している。金銭的な話になると、そういったバンドマンに対する影響は計り知れない。バイトも休業、バンドは自粛。そうなると家賃払えないバンドマンが急増。付き合ってる彼女からお金を借りるしかない。そのお金もバンドマンは酒に使い、またお金がなくなる。うーん、ここにも負のスパイラルは存在しているのかもしれない。

 

そんな中、自粛ムードが高まってから今までの短期間で複数のアーティスト達がインターネット配信でライブを行っている。

 

冷静に考えると、これはものすごく凄いことだとなのではないか?と感じている。ネット配信のライブであれば天候にもそれこそ今回のようにウイルスなど疾病にも影響されず、また大きな会場をおさえることもなく数千~数万人を相手にライブが行える。実際に例を出すとナンバーガール だったり、私の推してるぜんぶ君のせいだ。というグループ。これほどまでのメジャーなバンドや人気上昇中のアイドルでさえも、無料ネット配信をおこなっているのだ。

 

透明少女 / ナンバーガール

 

もし仮に、現在YouTubeやその他配信アプリに見られる投げ銭システムよりもっとしっかりとした集金システムが構築されればローコストで安定したハイリターンを得ることが可能になる。つまり、ライブビューイングの方法として、現在のライブハウスで「ライブに行く」スタイルではなく、自宅で「ライブを見る」スタイルに変化していくのではないか?と私は考えている。

 

しかし、この自宅で「ライブを見る」スタイルにも欠点がある。

まず一つ目に、「観客からのレスポンスがない」点だと考える。コメント文化であったり、投げ銭文化による直接ではないレスポンスを得られるが、そもそものライブの熱量は低下せざるを得ない。

二つ目に、「演奏者本人と直接会えない」という点である。邦楽ロックは何故アイドル化してると言われているのか? - 煙草の煙が目に染みるで書かれているけれども、現在の音楽を聴くリスナーで増加している「バイトマン本人に会うためにライブに参加する」人々の欲求は得られない。多分1番の欠点はこの点であって、よくいる「おいしくるメロンパンのナカシマさんが好きなんです〜〜〜♡」みたいな奴らには絶対このスタイルは刺さらない。あいつらは絶対にナカシマに会いに行ってるだけ。絶対そう。

三つ目は、単純に「ライブハウスの収入が激減する」という点。札幌でもライブハウスのコロニーが閉店したし、この文化が定着してしまったら閉店を余儀なくされるライブハウスは多くなるだろう。

 

しかし、今回のコロナ騒動を通してライブのネット配信というものが持つ可能性が広く認知されたように思える。そんな中で、しっかりとした集金システムを構築した「ネットライブハウス」なんか作ったら絶対売れると思う。そうしたら、ライブは配信しかしない謎めいた覆面バンドマンとか出てくる気しかしない。でもそういう奴らの前衛的な面は凄い評価出来る気がする。作ろうかな。

 

てなことを思いながら1日過ごしてました。皆様もコロナに負けないよう、頑張っていきましょう。

 

以上。また何かあればよろしく。