今ポエトリーリーディングという音楽ジャンルはもうちょっとアツくなってもいいと思うんだ
俺は実は、HIPHOPって音楽ジャンルが凄く嫌い。いや、理由はちゃんとあってな、大学の頃大人数で酒を飲んでいるときに急にビートを流しはじめて、フリースタイルダンジョンの真似事したりする奴らがいたの。しかもそういう奴らって「悪い奴らは大体友達 Yeah」みたいな意味わからないくらい有名な事しか言わねえの。それならポケモン言えるかなとかビートに乗せて歌った方がまだマシでしょ。ピカチュウ、 カイリュー、ヤドラン、ピジョン……とかやった方がウケる。
そんな奴らが嫌いだったから、必然的にHIPHOPって音楽ジャンルが嫌いになってしまった。
でも、よく百聞は一見にしかず、何て言葉があります故、友人が勧めてくれたラッパーの曲を聴いてみたの。その曲がこれ。
Pellicule / 不可思議/wonderboy
聴いた瞬間鳥肌が立った。
なんだこれ、すげえ胸に刺さってくるぞ、と。
親友と話をしているような会話の中に、将来への漠然とした不安が盛り込まれている歌詞と、悲しげな、ノスタルジーなピアノのメロディーが刺さってくる。
多分これを読んでいる10代の若者と、20代半ばとか30代で聴いた場合とじゃ全然違うんじゃないのかな、これ。「お前はどうなんだ?」と語りかけてくるような、そんな感覚。
よくあるHIPHOPっていうジャンルで「リアル」っていう言葉が出てくることが多いと俺は感じているのだが、ゴリゴリのグラサンかけたラッパーのリアルなんかは「貧困時代の俺」とか「悪い奴らとつるんでいた頃」なんかをリアルで表現していると勝手に解釈している。でも最近のポエトリーリーディングの音楽ジャンルで歌っている人たちは「現代社会での苦悩」なんかをリアルとして表現している。俺たちが共通して過ごしている日常を表現している。だから共感しやすい、と感じるんじゃないか。
マイハツルア / 狐火
アルツハイマーになった婆ちゃんへ送ったメッセージと、これまたノスタルジーなメロディーが合わさった曲。もし婆ちゃんの記憶がなくなっても、この曲で聴いてくれた人間は婆ちゃんのことを覚えているよ、って泣くわこんなん。
この狐火のリアルは、結局前も言ったように、記憶が徐々になくなっていく婆ちゃんについて書かれていて、誰しもが経験するかもしれないという日常をテーマにしている。
ポエトリーリーディングという音楽ジャンルは、このように「誰しもが経験しうるであろう日常」をテーマにして書かれている。だから共感出来るし、同じような苦悩をしている人間にとっては「お前はどうなんだ?」と聞かれているように感じる。何でこんなジャンルが下火なのか?と俺は思う。
DOWN / été
特徴的な声が印象的。これ第一印象。これまでノスタルジーなメロディーを軸とした曲が多かったジャンルの中で、ハードコア、ポストロックのメロディーを取り入れている。いや、最初ね、このバンド前のブログに記述した「ぜんぶ君のせいだ。」ってアイドルと同じレーベルなんですよ。だから試しに聴いてみよ〜〜なんて軽い気持ちで聴いたら度肝抜かれたよね。そもそも楽器隊がエグい。拍の変化やら変拍子なんかザラ。それでも疾走感を感じれるし、ポエトリーリーディングってジャンルとしての歌詞が頭にスッと入ってくる。いやすげえよマジで。
balloon / 泉まくら
女性のラッパーで、コンセプトは「ラップをしちゃうふつうの女の子」らしい。そう。そこなんだよ。女の子の憂鬱というか、揺れ動いている心というか、そういう女の子の見えない部分、日常的な部分を伝えているんだよ。ザ、今のポエトリーラッパーみたいな。しかも、比べるのが少し悪いが相対性理論、さよならポニーテールみたいな少しふわっとした歌声。おじさんにはたまらない。
てな感じで4つのグループを紹介したのだけど、お気に召すものはあっただろうか。これからポエトリーな歌い方で直接的な感情移入が出来るような、そんなバンドやラッパーが増えてこのジャンルが熱くなっていくことを望んでいる。
以上。また何かあれば宜しく。