NUMBER GIRLの再結成とその賛否
「NUMBER GIRLが再結成」
その記事を見た俺はめちゃくちゃ驚愕してしまった。でもその話題を口に出したりツイートしたりしている人間ってのは数少なくて、20歳女性なんかはピクリともしない。でも今さっきまでとなりにいた俺の音楽好きのニートの奴なんかは興奮覚めやらぬ様子で狂ったようにNUMBER GIRLを聴き始めたのである。
いや、NUMBER GIRLって知らない人めちゃくちゃ多いと思うんですけど、めちゃくちゃ凄い事なんです。NUMBER GIRL再結成ってのは。俺は時代ではないんだけども、簡単に言うと世の中の邦楽ロックシーンの中心にこいつらはいた。なんて言うのかな、嵐の活動休止宣言、ポケモンのアローラの姿…… いや、上手い例えの衝撃が思いつかない。
透明少女 / NUMBER GIRL
簡単に説明すると、1995年から2002年に活躍したオルタナティブロックバンドで、一部の人たちにはカルト的な人気があって、2000年代の邦ロック史を語る上では欠かせないバンドなんです、こいつら。
影響力もエグくて、アジカン、凛として時雨、baseball bear、きのこ帝国などなど、あげればきりがないほどに影響を与えているんです。今はもうあまり見なくなったけど、大学の軽音サークルなんかでナンバーガールのコピバンしたりする奴らが大量にいた。あと「ナンバーガールっぽいねこのバンド」とか言っとけば音楽通ぶれる。ヤバイんです。簡単に言うとヤバイんです。
僕が何でこんなヤバイヤバイ言ってるのか。僕がナンバーガールと出会ったのが中学くらいの時かな。確かアジカン大好き絶頂期の自分に対して、「アジカンが影響されたバンド」として紹介されてから、アルバム4枚を全部購入して聴いたのが最初。狂ってるよなよく考えたら。でもね、最初の印象ね、「ボーカル聞き取りにくいんじゃ、なんやこいつら」っていう。紹介して「ええよこのバンドは」みたいに紹介してた奴とTSUTAYAの店員を呪ったよね。まぁロック初心者に対してもしかしたらナンバーガールというバンドは早かったかもしれない。
正直ね、知見を得てきた今もナンバーガールというバンド、意味わからんのですよ。歌詞はいまだに理解不能だし、ドラムが刻むビートも独自だし、ギターはカッターナイフみたいだし、ボーカルはたまに叫んでるし。言語化できない。多分ね、ナンバーガールというバンドの良さっていうのはそこにあると思うんですよ。意味のわからなさ。俺たちが培ってきたものを全てぶっ壊すような音楽性。そこなんです。だからどんどん好きになっていったし、今も敬愛しているバンドなんです。
で、はい。「ナンバーガール再結成」というニュースが流れてきましたぞ。ドン!!!
ってね、最初はそりゃ喜びましたよ。「ヤベエのが帰ってきた」「諸行は無常すぎる」とか。でもね、よくよく考えると、なんかちょっと怖いんです。怖いというか、なんて言えばいいんだ。とにかくそんな感情。同窓会お前の好きだったやつもくるらしいぜ!とか言ったりとかして。いやでもさ、好きだったは好きだったよ。でも怖いって。舌ピとか鼻ピとかしてきたらどうするよオイ。なら思い出のあのままの君で登場してくれよ……みたいな感覚。そんくらいの思いがある。
あとね、ナンバーガールの終わり方が最高だったんです。2002年、11月30日。札幌ペニーレーン。あの伝説のライブ。
あれで終わっているからナンバーガールはナンバーガールとして最高だし、伝説となり得ているんです。それを今更新しい歴史として続ける意味があるのか?ということなんです。簡単にいうと、ナンバーガールは「もう終わったバンド」なんです。さっきも言ったけど、思い出は思い出のままで……という思いが強すぎるんです。だからナンバーガールになりたいバンドが増えたし、酔狂者が増えた。
ただよ、ただ、今の向井秀徳が鳴らすナンバーガールを聴きたいのも事実。解散からもう17年くらい。その17年の成果を見たい。「ああ、この人ら俺たちが受験勉強したりバイトしたり単位落としたりしてた間もずっと音楽に取り組んでたんだな」と当たり前のことを再確認させられたい。今の向井秀徳の「夏だったああああァ!!」って叫びを見たい。もしかしたら叫ばないかもしれない。それはそれでいい。だってそれが17年という月日が産んだ産物なんだから。その産物を俺は見たいのだ。
んで向井秀徳の再結成のメッセージも最高。
2018年初夏のある日、俺は酔っぱらっていた。そして、思った。
またヤツらとナンバーガールをライジングでヤりてえ、と。
あと、稼ぎてえ、とも考えた。俺は酔っぱらっていた。
俺は電話をした。久方ぶりに、ヤツらに。
そして、ヤることになった。
できれば何発かヤりたい。
このメッセージを見ると、金稼ぎの為にやってんのかこいつはって思うけども、どう考えたってZAZENで新しい曲出して初披露しまっせってより、ナンバーガールで既存曲やりますって方が明らかにハードルが高い。前のバージョンと露骨に比較されちゃうわけだし、ライブするだけでも相当勇気がいること。それをあえて、恐れずにやる。そういう部分が本当にパンクだ。やっぱりこの人たち、変な奴なんだなって思う。
俺は散々今言ってきたけど、最終的に「見たい」です。17年経ったナンバーガールを。思い出は思い出のまま、僕らじゃ想像つかない何かを積み上げてきたんだ、と進歩と変化がまっすぐ見て取れるような、そんなライブをしてほしいと思う。言いてえよな、「やっぱりナンバーガールはヤベエよ」って台詞をさ。
School Girl Distortional Addict 15th Anniversary Edition
- アーティスト: NUMBER GIRL
- 出版社/メーカー: ユニバーサルミュージック
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