煙草の煙が目に染みる

感情の垂れ流しが、目に、心に染みるように。

"ポップしなないで"をバズる前に聴け

 

いきなりですが、最近の女性ボーカルのバンドやガールズバンドってのは星の数ほどありまして、大体の系譜が「チャットモンチー派」と「そうじゃない派」に別れるんです。

 

んでチャットモンチー派ってのはその女性ボーカル、ガールズバンドの8割型を占めているわけなんですわ。どっかの記事なんか「チャットモンチー解散!チキチキ第一回!チャットモンチー後継ガールズバンドダービー!」なんて記事が出てるくらい、チャットモンチーみたいなバンドがどんどん出てきているわけなんです。ていうかむしろ、チャットモンチーが偉大すぎたんです。所謂「現在のガールズバンド」の基礎を作った。あの女子にしか作れないコケティッシュ感。あれが日本中の童貞中高生男子やガールズバンドをしたいっていう女の子たちにハマってしまった。だから学校祭でやるガールズバンドなんて大体の確率でチャットモンチーのシャングリラじゃないですか。そうなんです。チャットモンチーは「女子感」という面ではセンスがサマンサタバサしていたんですよ。

しかも言うと、解散の形も良かった。あのチャットモンチーの2人の仲がギクシャクして……なんて想像できないし、きっと2人できちんと話し合った末の解散なんだなって、すんなり受け入れられた。いややっぱすげえよ、チャットモンチー

 

んでだ、次に「そうじゃない派」の話になってくるんですが、これが大体「椎名林檎東京事変ゴリゴリ意識派」もしくは「相対性理論ウィスパーボイス派」に別れてくるんです。これで98パーセントは判別できます。たまに「ミドリ」とかいう頭のネジが7本くらい飛んでんじゃねえかな、なんて思うバンドもいますが、それはまた別の機会にお話するとして。椎名林檎ゴリゴリ意識なんてのは、今バズりにバズってる「ポルカドットスティングレイ」みたいなバンド。正直ね、このバンド、完全に商業的な匂いがしてダメなんです、俺。前ブログで書いたかもだけれど、感情をありのまま表現する、自分のやりたいことをしているバンドは素晴らしいけども、「これをしとけば売れるやろ」みたいな感じでバンドをしているような奴らはあまり好かないんです。ポルカドットスティングレイはそんな香りがして俺はダメ。ていうか、女性ボーカルがDuesenbergのギター弾くのは椎名林檎すぎてマズい。バリバリ意識。

 

いやそして本題だよ。本題前に1000文字使っちゃったよ。チャットモンチーポルカドットスティングレイの記事じゃないんだよ今回。

気を取り直して、さて皆様、相対性理論のようなウィスパーボイス、好きでしょ、童貞諸君。ウィスパーボイスとはなんぞや?という方、『ウィスパーボイスっていうのは発声においてささやき声・もしくはささやきに近い息漏れ声を指す言葉で、特に日本の歌唱・朗読・ナレーションなどの分野で用いられることの多い用語である。』らしい。簡単に言えば囁きボイス。僕も相対性理論、大好きです。いずれ相対性理論の記事も書きます。「女性ボーカルの曲を聴くと相対性理論の『気になるあの娘』を聴きたくなる現象に名前をつけたい」みたいな。はい、そしてだ、今回紹介させて欲しいのが、そんなウィスパーボイスのような囁くボイスを取り入れつつも、今ポエトリーリーディングという音楽ジャンルはもうちょっとアツくなってもいいと思うんだ - 煙草の煙が目に染みるで書いたポエトリーリーディングの感情をありのままに表現している要素を含み、中毒性のあるサウンドと歌声を持ち合わせる。それが「ポップしなないで」というバンドなのです。

 

ボーカルのかめがい、ドラムのかわむらによる、セカイ系おしゃべりJPOP。
歌とラップとピアノとドラムで、現実と上手くやれない「君」に寄り添ったり寄り添わなかったりする音楽を日々制作中。
MVがかっこいいとよく言われる。

2015年頃結成

2016年12月に全国流通番CD「Faster,POP!kill!kill!」をリリース。一部で話題になる。

 

てな感じで、ボーカル・キーボードのかめがいとドラム・コーラスのかわむら、わずか2人という、バンドとして最小単位の編成なんだけど、普通はバンドに欠かせないであろう、ギターもベースもいないのに、ぜんぜん違和感がないどころか、何というか、自分たちが目指している世界観が楽曲から醸し出されている感覚がするんですよね。

 

言うとおり、神さま / ポップしなないで

 

はい、ジャン。「CDはもう売れない」のリード曲である「言う通り、神さま」という曲でございます。

いやそもそもね、自分のCDに対して名前を「CDはもう売れない」なんて付けるセンスがヤバイ。アジカンなんかは「マジックディスク」なんてアルバムを出してるけども、あれは「CDはまだ死んじゃいねえよこの野郎」みたいなメッセージ性を含んでいるんだと勝手に思ってるんだけども、自分で「売れない」なんて言っちゃうのヤバイ。

今の時代なんかはApple Musicとかでデータを買って、スマホで聞く時代になってしまったのだけれど、俺は好きなバンドやアイドルの新譜が出たら必ずCDを買うタイプ。歌詞カードやらを読んで歌詞の意味なんか考えちゃうちょっと捻くれたおじさんのタイプ。でもそんな奴らなんかはもう少数派になってきて、業界全体もCDを買おうみたいに宣伝してる場合が多いけど、はっきり「売れません」なんて自分から言っちゃうの、凄い前衛的。

 

んで楽曲の話ですよ。

はじめましてこんにちは仏頂面の彼女が
ハスキーな祈りを僕らに叩きつけた
隠し持ったナイフも おもちゃみたいに思えた
切りつける言葉が月まで届きそうだ

はい、いきなり160km/hの豪速球みたいな歌詞をポエトリーに歌い上げている。ポップで明るい曲に乗せて、「はじめまして」なんて言っといて、ハスキーな祈りを叩きつけて、ナイフも隠し持って。バイオハザードでしょ、一種の。でも、語っている存在は誰なんだ?って考えると、自分が信じる神さまなんだろうなって推測できる。別に信仰心とかじゃなくて。CDのジャケットでも、後で載せるけどもだ、少女が不思議な恐竜のような神と対峙している様子が浮かび上がる。じゃあ、その神さまってのは何なんだ?って疑問が浮かび上がるけども、歌詞を読み、曲を聴いていると、この曲で対峙している少女は自分だと仮定した場合、神さまってのは日常の全てに対してのことなんじゃないかなって感じる。日常全てに対して、ステージに立つことだったり、歌詞に出てくる回鍋肉を焦がしたことだったり、全ては神さまに宿命付けられているのだ、という感覚。自覚はしないけども、そんなことに対してナイフを隠し持ったりするほどの憎悪や悲しみも、日常として、神さまの宿命として描かれた歌詞なんじゃないかな、なんて感想を抱いてしまう。そんなことでさえも、ポエトリーに、キャッチーに曲にできるポップしなないでは、めちゃくちゃ凄いと感じてしまうのだ。

 

魔法使いのマキちゃん / ポップしなないで

 

そしてすでに48万回再生とバズり始めている曲、魔法使いのマキちゃん。これ、単純に思ったこと言っていいですか?

曲がスカスカ。でもそれがいい。

いや分かりますか。この感覚。比べるのが失礼になるけども、ペトロールズ。皆様知ってますか?そんな感覚。いずれペトロールズは記事にしたいんだけども、スカスカなんだよ。曲が。でもその中にメロディの心地よい繰り返しと、ウィスパーボイス。それが聴いてて、物凄く最高じゃないかなって感じてしまうんですよね。勿論、キーボードとドラムっていう最小単位で構成されてるっていうことでもあるんだけど、メロディを聴いてると心地がいいんだよ。それを思いさせるようなメロディ構成と歌詞の繰り返し。素晴らしいと思います。

 

てな感じで、確実に今後バズっていくだろう、「ポップしなないで」。聞き逃したらいけないと思わせるバンドだと思います。

 

以上。また何かあれば宜しく。

 

CDはもう売れない

CDはもう売れない